個人情報保護についてグローバルな視点で考えてみた

セチョンさんの【もうすぐ「個人情報」が変わる?】に引き続き、個人情報関連ブログ第二弾!
今回は、個人情報保護をグローバルな視点で見ていきたいと思います!
……え、全然興味ないですか?
でも、インターネットが当たり前に普及している今、個人情報保護ってすごく身近で大切なテーマなんです。誰かとの会話に困った時の小ネタ用にでも、ぜひ最後までサラッと読んでやってください!
まずは、個人情報保護の歴史を振り返ってみる
そもそも、「個人情報保護」の概念って、いつ頃生まれたものなんでしょうか。
世界的に、最初に個人情報保護の指針が打ち出されたのは、1980年のOECD(経済協力開発機構)8原則です。
それ以前は、各国が独自に個人情報保護に関する法律を定めていたわけです。
ただし、人々が個人情報の重要さを急速に意識するようになったのは、コンピュータが企業に導入されるようになってからでしょう。
それまでは、企業経営で必要な資源は「人」「物」「金」でしたが、インターネットの普及により4つ目の資源として「情報」が、取り分け「個人情報」が重視されるようになったのです。
しかし、いつしか個人情報は本人が知らないうちに企業間で取引されるようになり、突然知らない会社から勧誘電話がかかってきた!DMが届いた!という事態が起こり始めました。個人情報の不正取得、不正利用ですね。
こういった事態の解決は世界的な課題であり、そこで発せられたのがEUデータ保護指令(1995年)です。簡単に言うと、EU加盟国の個人情報は、指令が定める個人情報保護水準と同等の保護水準を確立していない第三国には移転してはならない、という内容です。
ところで、当然、日本の個人情報保護ってハイレベルなものなんですよね?
世界的に見て、日本の個人情報保護の水準ってどれくらいのレベルだと思いますか?
結構上位に居そうだと思いますか?
日本で個人情報保護法が制定されたのは2003年(完全施行は2005年)のことで、EU指令から遅れること8年です。
その後も国際的な個人情報保護法制の進展に対して、日本の対応は周回遅れと言われてしまうこともあったり、EU指令が定める十分なレベルの保護水準を満たしていなかったりと、実は、現段階では日本の個人情報保護水準は世界的に見て決して高くはないんです。
因みに、諸外国の個人情報保護水準は、下の図の通りです。
【引用】「個人情報の取扱いのグローバル化対応」著:牧山嘉道
現在の日本の水準は、【3】と【4】の間あたりです。
保護水準が同じようなレベルの国同士は、罰則のレベルも一緒でしょ?
いいえ。違うんです。
例えば、ほぼ同等の保護水準である、日本・韓国・台湾の罰則を見てみましょう。
日本 | 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
---|---|
韓国 | 10年以下の懲役又は1億ウォン(≒1000万円)以下の罰金 |
台湾 | 2年以下の有期懲役、拘留若しくは20万台湾ドル(≒80万円)以下の罰金 |
……え?圧倒的に韓国の罰則が重くないですか?!
それとも、台湾や、特に日本の罰則が軽すぎるんでしょうか……。
どれくらいの罰則が適切なのか、皆さんは、どう思いますか?
そういえば、諸外国の個人情報保護制度ってどんなものがあるの?
ついでに、日本以外の諸外国ではどのように個人情報を保護しているのか、一部ですがまとめてみました。
法律名(制定年) | |
---|---|
アメリカ | プライバシー法(1974年制定) 連邦取引委員会(FTC)法 公正信用報告法(FCRA) 金融サービス近代化法(GLBA) 自動オンラインプライバシー保護法(COPPA)等 |
カナダ | 連邦プライバシー法(1982年制定) 個人情報保護及び電子文書法(PIPEDA法)(1999年制定) |
EU | EUデータ保護指令(1995年) e-プライバシー指令(2002年) |
イギリス | データ保護法(1984年制定/1998年改正) |
フランス | 情報処理、情報ファイル及び自由に関する法律(1978年制定/2004年改正) |
ドイツ | 連邦位データ保護法(2009年度最終改正) |
韓国 | 個人情報保護法(2011年) 情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律(1999年制定/2001年改正) |
台湾 | 個人資料保護法(1995年「電脳処理個人資料保護法」公布/2010年改名) |
【一部引用】諸外国における現状 総務省作成
一重に個人情報保護と言っても、国や地域によって対策は様々なんですね。
「消しゴム法」って、聞いたことありますか?
2013年にカリフォルニア州が制定した法律を、各メディアが「消しゴム法」と報道していました。
これは、未成年者がツイッターなどのSNSに不適切な投稿をしてしまったら即刻削除できるように、「消しゴムボタン(=投稿削除ボタン)」の設置を義務付けたものです。
今や、私達の生活と切っても切り離せないインターネットですが、「忘れられる権利」なんていうのも話題になっていたり、まだまだ個人情報保護の在り方に対する課題は山積みなんです……。
次回予告
というわけで、これまで2回に渡って個人情報やそれを保護するための対策についてお送りしてきました。
次回は、個人情報等をしっかり保護するために、各企業がどのような取り組みを行っているのか、現場の声を聞いてみたいと思います!
社内SEの饂飩職人さんがお届けしますので、どうぞお楽しみに~!
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